暑い季節に快適にウォーキングをするなら、
標高の高いところか、直射日光を遮る木々の中です。
森林の中で、流水のそばなら一層涼しいに違いない、と
渓谷沿いに遊歩道が整備された横谷峡に出かけました。
雨こそ降っていませんが、はたして直射日光の心配をする必要があったのか
疑問に思う、幽玄な霧の中です。
遠くに晴れ間も見えたので、天候が回復することを信じ、「乙女滝」から出発しました。
滝までの道は多少急ですが、階段が整備されています。
階段の幅と歩幅を合わせるのが難しく、また前日の雨で木や石が滑りやすくなっており、
慎重に下りて行きました。
乙女滝は落差が大きく、流れ落ちる滝を見上げる格好になるので
迫力があります。
この日は残念ながら霧と一体化していましたが、
晴れた日には細かい水の飛沫が爽やかに感じられることでしょう。
ここから渓谷沿いを歩く遊歩道に入っていきます。
途中、旅館の駐車場や建物の間を通るので少し動揺して挙動が不審になりましたが、
きちんと案内の矢印が表示されているので、道に迷うことはありません。
山沿いに整備された道をしばらく歩くと、「霧降の滝」に着きました。
落差はそれほどありませんが、繊細な細い筋になって落ちる滝が
美しかったです。
ゆるい傾斜の道をそのまま登っていくと、
崖岩が複雑な形状になっている「鷲岩」、
川底が大きな一枚の岩で形成されているという「一枚岩」を
見ることができました。
前日の雨で水量が多くなっていることもあり、濁流に見えますが、
水自体は澄んでいて、赤茶色に見えるのは岩盤の色です。
横谷峡を流れる渋川は、鉄分を多く含むと聞きますので
その影響なのだろうか、と思いながら、轟々と音を立てる流れを眺めます。
こちらも晴天の下で見れば、もう少し違った雰囲気でしょうか。
ここから少しずつ、道は渓谷から離れていきます。
多少傾斜がきつめのところもあり、足元も石や砂利状の場所もありました。
水音や鳥の声を聞きながら、ゆっくり登っていきます。
ここまで来てもまだ青空は望めず、眺望がすっきりしないかわりに
空気はひんやりとして動きやすかったです。
またしばらく歩き、「王滝」を正面に見る四阿に到着しました。
厳しい傾斜や難所はなく、全体的に歩きやすく整備された道で、
順調に歩けば乙女滝から小1時間で着くそうですが、
そこはゆるウォーキング、じりじりと続く登り坂にわずかしかない体力を奪われ
1時間20分くらいかかってたどり着きました。
そして、流水を見たり、水音を聞いたりしているうちにすっかり落ち着いてしまい、
四阿のベンチに根が生えたようになりました。
この先、さらに横谷観音展望台まで登る道もありますが、
けっこう急登だという話を聞き、ささやかな体力と相談した結果、
今回はここから乙女滝に引き返します。
下り坂では周りを見る余裕が出てきて、ジブリ映画に迷い込んだような風景や、
メルヘンなきのこを見つけたりして、楽しく歩きました。
乙女滝に戻った後、今度は車で、晴れていれば絶景が望める
横谷観音展望台まで行ってみました。
低く垂れこめた灰色の雲・・・
むしろ、降らなかったのが不思議です。
どこまでも、眺望とは縁のないゆるウォーキングでした。