白駒池の駐車場から車で20分ほど、麦草峠を佐久穂町側に下ったところに
「八千穂高原自然園」があります。
白駒池から向こう側にはあまり行ったことがなかったのですが、
もしかすると、ずっと見たかった花が咲いている可能性があるかも・・・
といううっすらとした情報をもとに、今回初めて行ってみることにしました。
入口で入園料を払いながら、
「フシグロセンノウは咲いてますか?」
と聞いてみると、
「いや~もうちょっと遅いね~!」
あっ、そうなんですか!?
何でも、夏が暑かったせいで、全体的に花が早かったそうです。
歩き出す前から意気消沈していると、つられて(?)天候まで下り坂になってきたので
急いで散策コースに入りました。
園内には、時間や体力によって選べる散策コースが3種類あります。
1時間ほどで回れる「青の小径」を選び、きれいに整備された遊歩道を歩きました。
途中、鹿除けの防護柵に保護されたお花エリアがあり、
入ってみると、マツムシソウやオミナエシなど、秋の花が咲いていました。
(ここからは、同行した行楽の達人の写真でお楽しみください)
お目当てのフシグロセンノウのオレンジ色を探していると、
ついに、雨が降ってきました。
慌てて林の中に戻って雨具を出しましたが、木々の中はそこまで雨が気にならず、
また、ゆるウォーキングは遠くの眺望には恵まれないかわりに雨には降られない、
という謎の自信に基づいて、奥に進むことにします。
園内には川が流れていて、滝も見ることができました。
前日の雨もあり、流量が多く迫力がある「飛竜の滝」と、
苔むした岩が流れを分ける「もみじの滝」。
林の中を水音を聞きながら歩くのは気持ちがよく、
滝を後にする頃には執念が天に届き、雨も止みました。
妙な形状のきのこや、トリカブトの鮮やかな青紫色を楽しみながら
「遊亀湖」を回って、鹿の防護柵のところまで戻ってきます。
柵の反対側の入口から中に入ってみると、
ありました!フシグロセンノウです!
ほぼすべてのエリアで花が終わった株しか見られなかったのですが、
ここにだけ、ぎりぎり何株か咲いているものが残っていました。
あたたかなオレンジ色の、ナデシコのような花です。
子どもの頃、山中にあった我が家の近くの道路脇の崖に咲いていて、
今はもういない祖父が、見つけては教えてくれたものでした。
(祖父は「こたつ花」と呼んでいました。そういう地方もあるそうです)
山でこのオレンジ色はとても目立つので、一番最初に覚えた花です。
懐かしい気持ちで花を眺めていると、次第に日が差してきました。
少し暑くなり、また一日中歩き回って疲れたので、
隣の食堂でソフトクリームを買ってひと休みしてから帰ることにしました。
自然園の散策マップを見ると、クリンソウ、ヤナギラン、ベニバナイチヤクソウ、など
多くの花の表示があるので、春や夏のもう少し早い時期に来た方が
花は楽しめるかもしれません。
また時期を合わせて訪れたい場所です。